日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)後潰瘍の治癒過程
角嶋 直美矢作 直久藤城 光弘井口 幹崇岡 政志小林 克也橋本 拓平小俣 政男
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2005 年 47 巻 6 号 p. 1266-1271

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抄録

【背景と目的】内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の登場により,従来では考えられなかった大型病変も内視鏡的に治療されるようになってきた.しかし,ESDによって生じた大型人工潰瘍の治癒過程についての詳細は明らでかはない.そこで,ESD後の治癒過程を明らかにするため,経時的な内視鏡像の検討を行った.【方法】当科においてESDによって治療された胃粘膜内腫瘍70症例を対象として,ESD後潰瘍の治癒過程および瘢痕形態を,切除サイズ,部位,胃壁の断面区分別に検討した.内視鏡観察は,原則としてESD後1,4,8,12週目に行い,抗潰瘍治療として,プロトンポンプ阻害薬(PPI)及びスクラルファート通常量を投与した.【結果】ESDの切除サイズは平均34.7mm(20.0~90.0mm)であった.ESD後潰瘍は切除サイズや部位・周在によらず,全例において8週までにS1-2stageに治癒・瘢痕化した.【結論】ESD後潰瘍は大型のものでも,消化性潰瘍と同様の治療で術後8週以内に治癒・瘢痕化する.これらは,ESD後のフォローアップや治療計画の立案に非常に有用な知見と考えられた.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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