抄録
経鼻内視鏡が日本において急速に普及している.検査中の苦痛も少なく患者の満足度は高いが,スコープの細径化に伴い,経口内視鏡に比べて生検を含めた操作性が悪く,さらに画像が劣るため病変を近接で観察し,可能な限り色素内視鏡を併用するなど施行医の負担が大きい.一方経鼻内視鏡による食道・胃癌の発見率は約1.5%と比較的高く,スクリーニング内視鏡検査としての有用性は確実にある.また,経鼻内視鏡を用いた胃瘻造設術,イレウスチューブ挿入の補助,食道機能検査などへの応用が報告されており,今後さらなる発展が期待される.