日本外科感染症学会雑誌
Online ISSN : 2434-0103
Print ISSN : 1349-5755
臨床研究
手術支援ロボット用鉗子の再生処理における課題
齋藤 祐平深柄 和彦村越 智室屋充明上寺 祐之
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2019 年 16 巻 6 号 p. 611-614

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抄録

手術支援ロボット用鉗子の汚染度について,箇所別の状況を検討した。使用後鉗子21本と器械台から返却された未使用鉗子8本の表面に付着する汚染量を,鉗子先端部,シャフトおよびハウジング部の外表面,内腔表面の3領域に分けて,タンパク質量を指標として評価した。使用後鉗子の3領域の汚染量は,鉗子先端部が1.37±0.34mg,シャフト部およびハウジング部の外表面が1.22±0.37mg,内腔表面が28.3±10.1mgであり,内腔表面と他の2ヵ所の間に有意差が認められた。未使用鉗子の汚染量はそれぞれ,0.030±0.003mg,0.27±0.22mg,0.44±0.07mgであった。内腔表面の汚染度が高く,内腔への体液などの浸入が示唆された。また汚染除去効率も限定的であった。狭細な内腔を有する手術器械の洗浄においては内腔の汚染除去が重要であり,鏡視下手術器械などではブラシ洗浄や内腔灌流による洗浄性が確保されている。手術支援ロボット用鉗子においても,鉗子洗浄に洗浄液の灌流が含まれるべきと考えられた。

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© 2019, 一般社団法人 日本外科感染症学会
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