現代ファイナンス
Online ISSN : 2433-4464
論文
フォワード・ディスカウント・パズル:展望
福田 祐一斉藤 誠
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ジャーナル オープンアクセス

1997 年 1 巻 p. 5-18

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抄録

本論文は,外国為替先物レートの不偏予測性(forward exchange rate unbiasedness)の仮説がほとんどすべての通貨の組合せについて統計的に棄却されているという実証的なファインディング,すなわちフォワード・ディスカウント・パズル(forward discount puzzle)が,どの方向に分析フレームワークを拡張することによって理論的に説明されるのかを展望している.特に,危険回避行動を明示的に取り入れていくアプローチと,貨幣市場の流動性効果(liquidity effect)を組み込んでいくアプローチのふたつの拡張を検討している.後者の流動性効果には,名日貨幣成長率の上方シフトが直物レートの期待変化率と直先スプレッドに相反する響を与え,パズルを解明する可能性がある.

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© 1997 日本ファイナンス学会/MPTフォーラム
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