現代ファイナンス
Online ISSN : 2433-4464
論文
ストックオプションと株式所有権構造
阿萬 弘行
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ジャーナル オープンアクセス

2002 年 11 巻 p. 43-59

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抄録

本稿の目的は,ストックオプション制度と株式所有構造の関係について,日本企業を対象として実証的に分析することである.1997年の本格的なストックオプション解禁以来,この制度を採用する企業は捭え続けている.しかし,学術的な分野において,同制度の経済学的研究を行っているものは極めて少ない.特に,ストックオプションが株主利益の実現を主目的とする以上,その株主構成がりえる影響について分析することが主要なテーマである.すべての株主は同一の利害を共有しているわけではなく,実際の株主構成を見ればグループ間の利害の不一致が一般的現象である.とりわけ,本稿が注目するのは,株式を保有しつつも,債権保有によって,一般の株主とは異質な利害関係をもつ金融機関,そして,ストックオプションと類似の機能をもつと予想される役員持ち株である.計量分析によって以下の結論を得た.第一に金融機関持株比率の上昇がストックオプション依存度を低下させる.第二に役員持株比率の上昇はストックオプション依存度を低下させる.

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© 2002 日本ファイナンス学会/MPTフォーラム
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