2004 年 16 巻 p. 23-42
本稿は,2000年10月30日に日経225指数オプションの証拠金計算法が,SPAN(Standard Portfolio Analysis of Risk)に移行したことに着目し,制度変更によるボラティリティ・スマイルの構造変化を分析した.分析結果は以下のとおりである.SPANの導人による証拠金の軽減が,in-the-money と out-of-the-money オプションにおけるインフフイド・ボラティリティの差 hv の平均と分散の減少をもたらした.また,マネネスによるビッドアスク・スプレッドの違い hsp 及び取引量の違い hm はそれぞれ hv と正の相関関係があり,さらにGranger怠味で hm から hv への因果関係があることも確認した.これらは,オプションの取引コストや流動性リスクがボラティリティ・スマイルに影響を及ぼしていることを示唆する.