2006 年 19 巻 p. 21-48
本稿では,標準偏差や分散共分散行列に代わるボラティリティ及び連動性の推定・予測手法として,相場のレンジ(変動範囲)やハイ・フリークエンシー・データをベースにした実用的な推定法・予測法について述べるとともに,実証データをもとにした有効性の検証を行ぅ.
標準偏差との比較で各種ボラティリティ推定量の効率性を見た場合,取引回数の増加に伴って相対効率性は理論値に近づき,レンジやイントラデーデータなどを使ったボラティリティ推定鼠の優位性が確認された.さらに,こうしたボラティリティ推定量は真のボラティリティを過小評価し,取引回数の増加に伴って理論通りバイアスが減少することも確かめられた.一方,ボラティリティ予測の精度についても,レンジやイントラデー・データを使用したボラティリティの優位性が示された.