現代ファイナンス
Online ISSN : 2433-4464
論文
本邦社債スプレッドの期間構造と予測—Nelson-Siegelモデルを用いた実証分析—
小林 武
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ジャーナル オープンアクセス

2012 年 31 巻 p. 109-134

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抄録

本稿ではNelson-Siegelモデルを用いて,個別企業を対象に1997年から2009年の12年間にわたる本邦社債スプレッドの期間構造と予測に関する実証分析を行った.その結果,Nelson-Siegelモデルは社債価格を高い精度で表現できること,推定された社債スプレッドの期間構造は,通常,社債スプレッドの変動要因と考えられる指標に比べて,予測に有効なことが確認された.また,マクロ経済やマクロの流動性を表す指標も予測に有効であることが確認され,米国の実証結果と異なる結果を得た.さらに,社債スプレッドが急激に拡大する局面では,社債スプレッドの期間構造の有効性が低下するがマクロ経済指標の情報を追加することで,予測精度の向上につながることが明らかになった.本稿は,個別企業の社債スプレッドの期間構造を推定し予測に応用した本邦で初めての研究であり,本稿で取り上げたモデルは予測に有効な要因を多面的に捉えた点で社債の個別銘柄選択などの投資戦略に応用が可能である.

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© 2012 日本ファイナンス学会/MPTフォーラム
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