日本プライマリ・ケア連合学会誌
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シンポジウム 2 あるべき病院総合医像を求めて
研修病院の立場から
郡 義明
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2010 年 33 巻 3 号 p. 293-295

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抄録

 病院で総合診療を行う場合, 院内には外科や小児科, 産婦人科, 整形外科などが併設されていることが殆どであり, その診療内容はほぼ内科に限定される.
ところで, 病院総合医といっても, 専門内科がないかあるいはあっても臓器別専門診療のみを行うことはなく, 基本的に内科医は内科全般を診ている中小病院の場合と, ほぼ全領域をカバーする臓器別専門内科がある大病院では, その必要とされるニーズは異なっている. 私の場合は後者に属する. 本日はそのような立場から意見を述べたい.
当院は, 1978 (昭和53) 年以来, 2年間の初期研修修了後, 各専門内科をローテーションしながら3年間研修する内科ローテイト研修を実施してきた. 臓器別専門内科が林立する病院で, 広く内科全般を研修する目的は, generalistである総合内科医の養成とgeneral mindをもった臓器別内科専門医を育てることにある.
医療崩壊が叫ばれて久しいが, 私はその要因として地域の基幹病院の内科医の量的な不足とともに, 臓器別専門内科医の内科医としての足腰の弱さ (当該専門領域以外の内科疾患が診られない, 診ようとしない) があると考えている.
地域の内科診療再生は, generalistとgeneral mindをもった臓器専門医の養成が鍵であり, いわば車の両輪であると考えている. その意味でこうした幅広い内科研修が一般化されることを強く望んでいる.

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© 2010 一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
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