日本プライマリ・ケア連合学会誌
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原著(研究)
二次医療圏における医師数の増減と標準化死亡比との関連
中村 剛史岡山 雅信関根 沙耶花梶井 英治
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2011 年 34 巻 3 号 p. 188-194

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抄録

【背景】我が国では医師不足が, 市町村レベルでは住民の健康に死亡という観点から影響を及ぼしている. 広域生活圏であり医師確保対策の単位である二次医療圏において, 医師数も医師数の増減も一様ではない. 医療の質を考慮する上で重要な二次医療圏における, 医師数および医師数の増減と死亡の程度との関連は明らかでない.
【方法】既存の全国統計資料を用いた記述研究を行った. 全国358二次医療圏を対象として, 人口10万対医師数 (全医師数, 診療所医師数, 病院医師数) の2000年から2005年までの変化と, 男女別全死因および3大死因 (悪性新生物, 心疾患, 脳卒中) 別の2005年の標準化死亡比との関連を解析した.
【結果】2000年から2005年までの二次医療圏において, 人口対医師数および人口対医師数の変化のいずれも, 標準化死亡比との間で有意な関連は見られなかった. 死因別内訳でも, 女性の悪性腫瘍を除いて同様に, 医師数および医師数変化と, 標準化死亡比との有意な関連を認めなかった.
【結論】二次医療圏単位では人口当たりの医師数およびその増減の変化は, 当該圏域の標準化死亡比と関連していない. 現状において, 二次医療圏単位の視野では, 医師数を増やしても健康指標の改善につながるとは限らないことが示唆される.

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© 2011 一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
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