2015 年 38 巻 3 号 p. 263-267
目的 : 東京都心部におけるインフルエンザ菌の薬剤耐性率の経年的変化を明らかにする.
方法 : 東京都済生会中央病院において2004年から2013年の10年間に提出された検体から分離されたインフルエンザ菌の薬剤耐性率について調査した.
結果 : ampicillinとampicillin/sulbactam, cefditoren pivoxilへの薬剤耐性率が初年度と比較し有意に増加している年度が存在した. levofloxacinとclarithromycinの耐性率は初年度と比較して有意差がある年度は存在しなかった. ampicillinとcefditoren pivoxilへの耐性率は本調査期間内で有意に増加していた. 小児でのampicillin/sulbactamへの耐性率は全ての年度で成人の耐性率より高値を示した. levofloxacin耐性株は成人からのみ分離され, 小児からは分離されなかった. clarithromycinへの耐性率は全国調査では1%程度だったが本調査では全ての年度で9%を超えていた.
結論 : 東京都心部において, インフルエンザ菌のampicillinとcefditoren pivoxilへの耐性率は増加傾向にあった. 全国調査よりもclarithromycinへの耐性化が進行していた.