日本プライマリ・ケア連合学会誌
Online ISSN : 2187-2791
Print ISSN : 2185-2928
ISSN-L : 2185-2928
報告
東京都心部におけるインフルエンザ菌の抗菌薬耐性の経年的変化 (2004年─2013年)
小池 宙山田 邦子藤井 幸太郎壁谷 悠介渡辺 賢治塚田 信廣三村 將
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 38 巻 3 号 p. 263-267

詳細
抄録

目的 : 東京都心部におけるインフルエンザ菌の薬剤耐性率の経年的変化を明らかにする.
方法 : 東京都済生会中央病院において2004年から2013年の10年間に提出された検体から分離されたインフルエンザ菌の薬剤耐性率について調査した.
結果 : ampicillinとampicillin/sulbactam, cefditoren pivoxilへの薬剤耐性率が初年度と比較し有意に増加している年度が存在した. levofloxacinとclarithromycinの耐性率は初年度と比較して有意差がある年度は存在しなかった. ampicillinとcefditoren pivoxilへの耐性率は本調査期間内で有意に増加していた. 小児でのampicillin/sulbactamへの耐性率は全ての年度で成人の耐性率より高値を示した. levofloxacin耐性株は成人からのみ分離され, 小児からは分離されなかった. clarithromycinへの耐性率は全国調査では1%程度だったが本調査では全ての年度で9%を超えていた.
結論 : 東京都心部において, インフルエンザ菌のampicillinとcefditoren pivoxilへの耐性率は増加傾向にあった. 全国調査よりもclarithromycinへの耐性化が進行していた.

著者関連情報
© 2015 一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
前の記事 次の記事
feedback
Top