日本プライマリ・ケア連合学会誌
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原著(研究)
高齢男性の心理が社会的交流に与える影響-質的手法による探究
松下 明田原 正夫吉本 尚
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2015 年 38 巻 4 号 p. 349-354

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抄録

目的 : 高齢男性は支援や介護を要する状態となっても社会資源利用を好まず, 家に閉じこもりがちとなるケースが散見される. こういった背景から高齢男性の心理状態を評価及び分析し, 社会的関わりを促す具体的な方策を提言することが本研究の目的である.
方法 : 岡山県勝田郡奈義町在住の75歳以上男性を対象に質的研究を行い, データ収集を2段階にて実施した. 一つは奈義町内の3地区に行われたフォーカスグループで, もう一つは個別に行われた半構造化インタビューである. 文章化されたインタビュー内容は修正版グラウンデッド・セオリーアプローチ (M-GTA) で分析・比較検討され, 概念化された.
結果 : 高齢男性の社会的参加に関する心理的背景要因として, 内的要因 (役割へのこだわり・老いの受容) , 関係性の要因 (女性参加者・スタッフとの関係) , 外的要因 (経済・交通手段) が3つのカテゴリーとして示された.
結論 : 関係性の要因と外的要因を中心に介入を行うことで, 高齢男性の社会的関わりを改善することが可能と思われた. 行政への10の提言を行った.

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© 2015 一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
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