2019 年 42 巻 3 号 p. 134-140
背景:特定の臓器に偏らず幅広い視野で患者を診ることができる総合診療医が日本には必要であるものの認定制度開始は近年のためその育成は急務である.
目的:総合診療に興味を持ちつつ臓器別専門医を選択した医師にインタビューを行い,「進路決定に関する要因」を抽出し,より理想的な総合診療研修の方法を検討する.
方法:2017年4月~2018年4月,5名の対象者へ現在のキャリア選択に至った経緯について半構造化面接をおこない逐語録化されたデータを,修正グラウンデットセオリーアプローチを用いて分析した.
結果:臓器別専門医選択の理由は「学問としての魅力」「他の医師から頼られる存在」「専門性を得る安心感」があがり,総合診療医の障壁として「将来の不安」「臓器別専門医からの批判」などがあがった.
結論:より理想的な総合診療研修のためには,充実した地域医療研修や専門医制度の確立,総合診療再研修の提案・実践を行うことが必要である.