日本プライマリ・ケア連合学会誌
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原著(研究)
在宅ケアを受けたがん患者の療養場所の希望と実際―在宅療養中の希望の変化を含めた検討―
荒井 康之鈴木 隆雄長島 晃司福地 将彦小坂 由道太田 秀樹
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キーワード: 在宅医療, がん, 場所, 希望, 変化
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2019 年 42 巻 3 号 p. 150-157

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抄録

目的:在宅ケアを受けたがん患者において,患者・家族が希望する最期の場所は在宅ケアを受ける中で変化するのか,実際に希望の場所で患者が最期を迎えるのかを検討する.

方法:A診療所が在宅ケアを提供したがん患者111人の診療録調査.在宅ケアの開始当初と最終段階での患者・家族が希望する最期の場所,患者が最期を迎えた場所を検討した.

結果:当初の希望が自宅である患者の95.6%・家族の96.8%が最期まで自宅を希望し,当初の希望が自宅でない患者の87.9%・家族の84.8%が最期に自宅を希望した.患者の97.4%・家族の97.2%で,最終段階の希望と最期を迎えた場所が一致した.

結論:一診療所の調査ではあるが,自宅での最期を希望した患者・家族は最期までそれを希望し続け,当初はそれを希望しなかった患者・家族も最期には自宅を希望しやすいことが示唆された.また患者の多くが希望の場所で最期を迎えることが示唆された.

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© 2019 一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
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