2020 年 43 巻 3 号 p. 105-111
目的:日本の一般市中病院で施行できるように修正したHELPにせん妄予防の効果があることを証明すること.
方法:介入前は2013年1月~7月に西淀病院・尼崎医療生協病院に入院した70歳以上の患者751名,介入後は2017年3月~7月と10月~12月に入院した患者775名を対象にした.せん妄の危険因子に対して多因子の介入(修正HELP)を行った.せん妄スクリーニングツール(DST)を用いて入院中のせん妄発症割合を測定した.
結果:介入前の751名中108名(14.4%)がせん妄を発症したのに対して,介入後の775名中88名(11.4%)がせん妄を発症した(オッズ比0.70,95%信頼区間:0.48~1.01,p=0.06).
結論:日本で施行できるように修正したHELPによって入院中のせん妄の有意な減少は見られなかった.今後,より効果的な介入方法を検討していく必要がある.