言語研究
Online ISSN : 2185-6710
Print ISSN : 0024-3914
フォーラム:The World Atlas of Language Structures (WALS)と類型論的分析
Introduction
堀江 薫
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2006 年 130 巻 p. 83-87

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抄録

近年,言語類型論の分野においては,危機言語の記録・保存・再活性化と類型論的データベースの共有化という二つの目標に向けた様々な取り組みが行われている.後者に関して,マックスプランク発達人類学研究所の言語学部門の類型論研究者が世界の類型論研究者の協力を得て,2005年にThe World Atlas of Language Structures (WALS)を刊行した.これは,世界の言語の音韻,語彙,形態,統語的特徴の地理的分布を,視覚的な理解しやすさに対して様々な配慮のなされた142枚の世界地図によって示した書籍とCD-ROMからなるデータベースであり, 今後の類型論研究にとって非常に重要な貢献を果たすものと期待される.本論は,WALSを用いた類型論研究の可能性を示す二つの論文およびそれらの論文に対するコメントからなるフォーラムの序論をなすものである.

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© 2006 日本言語学会, 著者
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