言語研究
Online ISSN : 2185-6710
Print ISSN : 0024-3914
特集 日本語アクセント記述研究の新展開
日本語における弱強格フット
――舞阪方言からの証拠――
ポッペ クレメンス
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2016 年 150 巻 p. 117-135

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抄録

本論文では,舞阪方言のアクセント体系を妥当に記述するために弱強格と強弱格という二種類のフットが必要であることを指摘する。フットを仮定せずに名詞のアクセント体系における体系的空白と,名詞・動詞ともに見られるアクセント交替を説明することはできない。興味深いことに,舞阪方言においては,東京方言と違い,強弱格より弱強格が優先される。強弱格も現れ得るが,語末モーラへのアクセント付与を回避するためだけであり,これ以外の場合は弱強格が選ばれる。これは,二種類のフットが同一言語のアクセント体系の中に共存し得ることを示す。

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© 日本言語学会, 著者
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