抄録
近年、元素の化学形態別の分析に注目が注がれ、手法や標準物質の開発への需要が高まっているが、固体中の微量元素の構造情報を直接測定できる手法は限られており、作成された標準物質中の元素の化学形態の保証も明示されているとは言い難い。固体中の元素の化学形態情報を高感度で得られる蛍光XAFSを用いて、6価のクロムを添加したと報告されている地質調査所発行の汚染土壌標準試料JSO-2中のクロムの価数を直接測定したところ、6価のクロムは存在せず、全てが3価のクロムとして存在していた。また、各種の地質、環境標準試料に6価のクロムを添加した試料について含有水分を調整して放置し、試料中のクロムの価数を測定したところ、条件によっては3価への還元が速やかに起こっていることが示された。また、XAFS測定自体による影響も観察され、有力な手法でありながら定量的な測定には測定条件の検討が必須であることが明らかとなった。