福岡県平尾台の石坂湧泉から地表流となって流下するカルスト地下水から、生物誘導型炭酸塩であるトゥファが約100 mにわたって川底に発達する。この渓流水のpHおよびCa2+濃度は、水温変化による脱ガスの影響を無視できるほどの経時変化を示した。それは日照量の違いによる有意の変化であり、生物の光合成が関与した炭酸カルシウムの沈殿量は渓流全体の沈殿量の80 %に達することもあった。また、トゥファ堆積への光合成の影響は、特に流量が多く日照量も多い春から夏で大きく、流量または日照量の少ない時期はその影響が小さかった。年縞と考えられるトゥファの縞状組織の形成に光合成が関係していることが定量的に明らかにできた。