El Quss Abu Said 隕石は極めて特殊なCM隕石である。我々の詳細な鉱物学的研究によって、この隕石は隕石母天体上での水質変成の影響が最も弱いCM隕石であることわかった。したがってこの隕石には通常のCM隕石が水質変質で失った始原的同位体比の特性を保存されている可能性が高い。そこで、二次イオン質量分析計でType IおよびType IIコンドリュール、CAI,マトリックスの酸素同位体比を調べた。その結果、コンドリュール、CAI,マトリックスで酸素同位体比は大きな不均質性を保持していることがわかった。CAIは分析した4つすべてにおいて大きな酸素同位体異常を示し、母天体のみならず星雲内においても16Oに乏しいガスとの痕跡すらないことがわかった。またコンドリュールはType IとType II間で異なる酸素同位体比を示した。さらに希ガス同位体分析の結果、他のCMコンドライトには見られないサブソーラータイプの希ガスが保存されている可能性が高いことがわかった。