地球生命史において原生代/顕生累代境界は非常に重要な期間であり、生命進化とグローバルな環境変動の関連を探ることが非常に重要である。本研究ではこの期間の海中の環境変動を探るため、南中国三峡地域において掘削されたボーリングコア試料を用いてバイオマーカーの抽出を試みた。結果、n-アルカンやプリスタン・フィタンといった非環状イソプレノイドが検出された。n-アルカンのピーク分布は従来のこの時代の研究結果と一致した。また、プリスタン・フィタン比を用いた結果、原生代/顕生累代境界では還元的環境が示唆された。これは南中国での微量元素や炭素同位体比を用いた研究結果とも調和的である。