本研究では、朝鮮半島に分布する白亜紀から古第三紀までの花崗岩類について、Zircon 結晶の U-Pb 年代測定を行なってその時空分布を検討すると同時に、これらの岩石の全岩化学組成および鉱物化学組成を検討することによって、花崗岩成因の根本的問題点である(1)物質源、(2)溶融プロセス、および熱源について議論を行った。 花崗岩の生成年代は、全体の分布を代表する26岩体をえらび、それぞれの岩石からジルコン結晶50粒以上を分離し、デトリタルな結晶や、包有物(蛍石やアパタイト)を含むものを除外して、一試料20粒以上についてLA-ICP-MSを用いてU≠ob同位体比測定を行い、年代を決定した。その結果、一部例外はあるものの、およそ北西から南東に向かって、97Maから48Maまで約5千万年かけて系統的に若くなることが分かった。これらの韓国のNW-SEの時間的・空間的な変化より、日本列島の同時代の花崗岩についても考察を行い、韓国と日本の花崗岩の年代と空間分布を比較した結果、韓国の花崗岩は海溝に向かって若くなり、逆に日本は大陸の方に若くなる特徴が見られた。 その成因については、韓国の白亜紀¢謗O紀の成活動には、マントル由来の玄武岩質マグマの生成と、下部地殻の溶融が同時に起こること、またそれが約5千万年かけて数百キロメートルをmigrationすることが必要であることがわかった。これらの花崗岩の時間・空間分布と全岩化学組成を説明するモデルとして、大陸の下のdelaminationと、大規模流によりdelaminationが海溝側への移動するモデルが提案される。同時に始まった海溝側からの活動は、白亜紀に起こったと考えられている海嶺沈み込みによる熱とその影響の大陸側への伝播、あるいは沈み込み角度の減少などによって引き起こされたと考えられる