日本地球化学会年会要旨集
2008年度日本地球化学会第55回年会講演要旨集
セッションID: 1B14 10-03
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地震発生素過程、断層帯・活断層の化学、地震活動に関連した化学観測
1978年伊豆大島近海地震での地下水ラドン濃度の減少
*角森 史昭郭 明錦
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抄録

1978年12 時24 分に伊豆大島近海地震が発生した(E139.25、N34.77、D15 km、M7.0)。この地震では、前兆現象が数多く報告された。中でも中伊豆町に掘削された井戸(SKE1)の地下水に含まれるラドン濃度の時間変化が、地震前に特徴的な変化を示した(Wakita et al. 1980)。また、石廊崎の体積ひずみ計に特徴的な変化が記録されており、この二つのデータの変化が良く対応していた。これにより、地下水中のラドン濃度が地震の前兆を捉えたと考えられている。これ以降、地震に先行したラドン濃度の変化に関する例が数多く報告されてきたが、それらのメカニズムはいまだ解明されていない。 近年、2003年の成功地震(台湾)に関連したラドン濃度の減少が、帯水層内の空隙増加にともなうラドンの気液分配に支配される、とするモデルに基づいて説明された(Kuo et al. 2006)。このモデルはラドン濃度の減少だけでなく上昇も説明できる。そこで、Kuoモデルを使って伊豆大島近海地震で観測されたラドン濃度の変化を再考する。 SKE1の水を採取し、液体シンチレーション法(Tri-Carb 3110/PerkinElmer)によって、気液分配に伴うラドンの溶存量を測定した。図2に示すように、ひずみ変化に伴う気相がラドンを含む地下水系に生成すると、ラドン濃度が減少することがわかる。ここから、図1に基づいて地震発生前の帯水層の空隙率を見積もると、2.2x10-5となった。

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© 2008 日本地球化学会
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