日本地球化学会年会要旨集
2008年度日本地球化学会第55回年会講演要旨集
セッションID: 1C02 28-02
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放射性廃棄物と地球化学
地層処分における地球化学的アナログプロセス -地下地質環境でのFe-oxyhydroxidesの長期的挙動について-
*吉田 英一山本 鋼志
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抄録

地層処分の掘削~操業~閉鎖後という段階において、地下処分坑道周辺の地球化学的変化は避けることのできない現象である。その中でも坑道掘削に伴う大気の侵入や、酸化した地下水の流入に伴う酸化還元反応がもたらす岩石の変質や酸化物の沈殿・濃集は、坑道周辺の水理場を変化させるだけでなく、処分場閉鎖後の核種移行シナリオにも影響を及ぼすと考えられる。しかし地下環境下での、酸化還元反応プロセスや酸化物の沈殿・再溶解などのプロセスに関しては未だ不明な点が多いのが実状である。例えば自然界においては、岩石(鉱物)?地下水?微生物の複合反応によって、Fe 水酸化物が還元環境下で保持/保存されている多くの現象例が確認される。一方、地層処分の安全評価シナリオでは、地下坑道周辺に二次的に形成された酸化物は、封鎖後(還元状態の)地下水の再冠水によって、もとの状態に戻ることが想定されている。このような自然現象の事例から学んだことをどのように安全評価に反映していけばいいのか。地層処分のような万年オーダーのプロセスを外装するには、自然現象のアナログ的活用は不可欠である。今回の報告では、自然界に存在するFe水酸化物の‘アナログ’事例をもとに、地下環境での酸化還元プロセスと酸化物の長期的挙動についてその考え方を報告するとともに、地層処分の安全研究において、自然から学ぶ地球化学的プロセスの理解と応用の重要性を述べる

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© 2008 日本地球化学会
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