大気にO2が蓄積し、地球表層が酸化的になった時期を推定する一つの手段として、堆積岩中のイオウの質量非依存同位体分別(MIF-S, Mass-Independent Fractionation of Sulfur isotope)が用いられている。イオウの3つの安定同位体(32S, 33S, 34S)において、一般的な化学反応では、δ33S = 0.515×δ34Sを満たす質量に依存した同位体分別を示すのに対して、24億年以前の堆積物にはしばしばΔ33S =δ33S - 0.515×δ34Sが0とならないMIFが見出され、O2の存在しない条件下でのSO2の光分解のためと考えられている。しかし、太古代においてMIFを生じさせるメカニズムには未だ不明な点が多く、本研究では後期太古代堆積岩中のイオウ同位体比を新たに分析した。