背弧域でも沈み込んだスラブが関連した何らかの熱・物質のやり取りが上部マントルにおいて行われていると考えられている。しかし、背弧域マントルにおいてどのような時間・空間スケールでどうやって何が輸送されているのかはほとんど明らかにされていない。背弧域の火山岩は未分化に近い組成を示す玄武岩が多く、広い時間・空間スケールにわたって上部マントルの熱・物質履歴を解析するのに適している。そこで新生代に九州北西部および韓半島に噴出した玄武岩を対象として、地質学的情報に基づいた岩石学的・地球化学的検討を行った。活動した時代は異なるが北西九州より韓半島下のマントルの方が低温で、スラブからの影響は小さいことが分かった。今後はより活動年代・地域を拡げた検討が必要である。