抄録
大気中で最も多量に存在する含硫黄ガスである硫化カルボニル(COS)は、成層圏の硫酸エアロゾルの前駆体として働くことで、地球の放射収支や成層圏オゾンの化学に大きな影響を与えている。本研究では、大気中COSの現場連続観測を初めて実施し、これを用いてCOSの大気動態の解明を試みた。観測されたCOSの時系列データは、春に極大値、夏から秋にかけて極小値を持つ明瞭な季節変動を示していたことから、大気中COSの季節変動は、夏季に最大となる陸上植物によるCOS取り込み量の変化を主に反映していると考えられた。