コンクリートの中性化進行の定量的な指標として放射性炭素(14C)を新たに提案し、14Cの化学的定量性・感度、および反応時間の指標としての検討を行ってきている(淺原ほか, 2009; 丸山ほか, 投稿中)。その結果、14C濃度は、フェノールフタレインの呈色反応によって評価される中性化フロントよりもかなり奥まで変化しており、中性化プロセスは単純ではないものの、14Cを用いることでコンクリートの中性化進行プロセスを推定できる可能性があることが明らかになった。これらの知見のうち、本講演においては、実構造物のコンクリートの表層の中性化領域から深部の未中性化領域にかけての元素移動の観察結果について報告する。