日本地球化学会年会要旨集
2011年度日本地球化学会第58回年会講演要旨集
セッションID: 1P25
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セッション16 現世および過去の有機物、微生物、生態系の地球化学
秋田県北鹿地域黒鉱に伴うケロジェン中の炭素・窒素安定同位体組成
*中畑 良紹山田 亮一掛川 武
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抄録

秋田県北鹿地域には、約15から10Maの海底熱水活動によって黒鉱鉱床が形成されている。本研究では、黒鉱形成時およびポスト黒鉱熱水活動期における古日本海の海洋環境と微生物活動との関係を議論する。特に、熱水変質を受けた泥岩中のケロジェンの炭素・窒素安定同位体組成を指標として、当時の熱水系に依存した微生物生態系が存在していたかを検証した。
実験の結果、黒鉱鉱床を形成した大規模な熱水活動のあった時期では、陸や海洋表層と異なった生態系が存在していた可能性が示された。海底熱水噴出孔近傍に生息する微生物群衆が、その候補であり、熱水由来の14Nに富んだアンモニアを主要窒素源として利用していた可能性を示唆している。しかし、ケロジェンの顕微鏡観察や安定同位体組成は、黒鉱形成時でも表層域の有機物供給量の方が圧倒的に高く、熱水噴出孔近傍の微生物生態系は極めて小規模なものであった可能性も示す。

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© 2011 日本地球化学会
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