抄録
火星由来の玄武岩であるシャーゴッタイト隕石の研究により、火星マントルの地球化学的特徴・同位体進化についての制約を与えることが可能である。Tissint隕石は、落下隕石であることから地球上での汚染の影響が極めて小さいと考えられており、化学分析に適した隕石試料である。本研究では火星マントルのPb同位体組成を明らかにするために、5段階の酸処理によって地球汚染成分だけでなく火星表層での変質作用の影響も取り除いた。最終的な残留物からは放射性起源のPbに非常に乏しい同位体組成が得られた。これは、約45億年前のマグマオーシャンから生じた液相濃集元素に枯渇した特徴を持つマントルリザバーが、現在の火星マントル内に保存されている可能性を示唆する。