日本地球化学会年会要旨集
2015年度日本地球化学会第62回年会講演要旨集
セッションID: 1C10
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G14 初期地球と生命起源の地球化学
西オーストラリア・ノースポール地域の変質玄武岩の四種硫黄同位体比から制約する太古代海底下微生物活動
*青山 慎之介上野 雄一郎
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抄録

地球最古の硫酸還元菌の活動記録は約35億年前まで遡る(Ueno et al., 2008)。しかし地球史を通じた硫黄同位体分別に着目すると、約24億年前の大酸化事変以前の硫酸塩鉱物-硫化鉱物間の硫黄同位体分別の多くは5‰以内である(Canfield & Raiswell 1999)。ところが、太古代でも熱水場に関連する岩石はδ34S = -40‰程度と34Sに大きく枯渇しており、熱水が硫酸を供給した可能性を示している。これを検証するため、西オーストラリア・ノースポール地域の変質玄武岩の四種硫黄同位体比を測定した。観測した硫化鉱物同位体組成バリエーションを説明するため、硫酸から生成しうる硫化物の同位体組成をモデル化した。その結果、95%の熱水由来質量依存硫酸に5%だけ大気由来の非質量依存硫酸を混ぜた硫酸を還元すると観測した同位体比を説明できること、Δ33Sの僅かなバリエーションは微生物的なプロセスで硫酸還元がなされたことがわかった。これらの結果は熱水が硫酸を供給したことを強く支持している。

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