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本研究では微量元素の吸着挙動を微生物由来の水酸化鉄(BIOS)と合成水酸化鉄で比較した。セレン(Se(VI), Se(IV))およびセシウム(Cs)を対象として吸着実験を行った結果、陽イオンであるCsのBIOSへの吸着は合成水酸化鉄よりも増加したのに対し、陰イオンを形成するSe(IV), Se(VI)は合成水酸化鉄より減少することが分かった。ゼータ電位測定より、BIOSは合成水酸化鉄より幅広いpHで負電荷を帯びていることが明らかとなり、対照的な吸着量の変化はBIOS特有の電荷的な効果によるものと考えられる。一方で吸着量の減少の程度はSe(IV)に比べてSe(VI)の方が顕著であり、これらは固相への吸着様式の違いを反映していると考えられる。