日本地球化学会年会要旨集
2016年度日本地球化学会第63回年会講演要旨集
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G12 初期地球と生命起源の地球化学
光化学反応による硫黄同位体異常を用いた太古代大気組成の推定
*遠藤 美朗上野 雄一郎青山 慎之介三島 郁Sebastian O Danielache
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p. 179-

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抄録

太古代の堆積岩に報告されている硫黄同位体異常はδ36S/δ33S = -0.9で特徴づけられる。SO2光化学反応は大きな硫黄同位体異常を生じるが、同位体異常を生じるメカニズムが完全に解明できていないため、太古代のδ36S/δ33Sを説明できていない。本研究では、SO2柱密度を減らし、還元的なCO大気とすることにより、想定される太古代大気の条件に近づけて光解離実験を行った。ある条件での光解離生成物の同位体異常はδ36S/δ33S = ?0.9となり、太古代の同位体異常に近い値を得た。δ36S/δ33Sは2つのメカニズムの組み合わせにより変化することがわかった。一方はSO2柱密度に関係するSO2の光解離反応の自己遮蔽効果であり、もう一方は還元気体濃度に関係するSO2励起反応における項間交差に起因する同位体異常である。この仮説を地質記録のδ36S/δ33Sに適用し、得られた太古代の大気組成に関する情報について報告する。

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© 2016 日本地球化学会
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