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富栄養湖沼手賀沼において、有機炭素の観測を通年で実施した。有機炭素存在量は春季に大きく、冬季に小さい季節性を有しており、有機物生産速度との間によい相関関係があった。河川による有機炭素流出量は流入量を上回っており、年間でおよそ300MgCの有機炭素を正味で流出させていた。溶存無機炭素の観測結果とあわせると、手賀沼はその表面から全球平均の2倍に相当する速度で二酸化炭素を放出する一方で、湖内での生物活動により無機炭素を直接大気と交換することができない有機炭素に変換するとこで大気への二酸化炭素放出を自ら抑制していることがわかった。