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大阪平野は厚さ1500m以上の堆積構造を持つ、日本でも有数の地下水賦存地帯である。大阪平野に賦存する地下水の一般水質については、多くの調査によって理解されている(中屋ほか、2009;牧野ほか2010など)。大阪平野の地下水にはしばしば高濃度のホウ素が検出される。このホウ素は有害元素であり、排出規制が行われている。しかし、分析データが十分でなく、その原因については不明である。ホウ素濃度やその同位体組成を明らかにすることで、ホウ素の原因物質と地下水への溶出過程を知ることができる。本研究では、大阪平野から様々な用途に用いられる地下水(62試料)と温泉に用いられる地下水(68試料)のホウ素とヒ素等の微量元素を測定し、一般水質と合わせた結果の空間分布、深度、帯水層に注目して、ホウ素の挙動について検討した。