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海水中の鉄や亜鉛などの微量金属元素は、植物プランクトンにとって必須の微量栄養塩である。そこで、本研究では白鳳丸KH-12-3次研究航海の西部北太平洋南北測線において亜鉛濃度の鉛直断面分布を明らかにするとともに、その特徴的な分布から数値モデリングを用いて海洋における亜鉛の循環メカニズムを明らかにした。 本研究により、北緯10度から47度までの溶存態亜鉛の鉛直断面分布が明らかになった。海水中の亜鉛はケイ酸とよく似た鉛直分布を示すが、北太平洋亜寒帯ではやや異なる傾向を示すことが知られている。本研究ではこのケイ酸との挙動の違いを「Zn*」で表した。Zn*の分布は北太平洋中層水の分布と似ている。数値モデルを用いてこの分布の再現実験を行い、海水中のZnの分布を支配する要因について検討を行った。