地質学雑誌
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論説
長崎県茂木地域における長崎変成岩類とその地体構造
—周防帯と三波川帯との並列—
西村 祐二郎廣田 佳子塩崎 大介中原 伸幸板谷 徹丸
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2004 年 110 巻 6 号 p. 372-383

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抄録

長崎県茂木地域の長崎変成岩類は, 茂木スラスト (新称) を介して, ユニットIとIIに区分される. ユニットIはスラスト上盤に相当し, 千枚岩から無点紋片岩, 変斑れい岩および変花崗岩からなる. ユニットIIはその下盤にあたり, 点紋帯の片岩で構成されている. 前者はパンペリー石—アクチノ閃石相から緑色片岩相の緑泥石帯に, 後者は緑色片岩相の黒雲母帯に相当する. 泥質変成岩中の炭質物d002値はユニットIが3.550—3.414Å (broad) を, ユニットIIが3.3619—3.3569Å (sharp) を示し, 白雲母K-Ar年代は前者が214—162Maを, 後者が87—86 Maを示す. 以上のデータから, 茂木スラストは野母半島南西部地域の脇岬—深堀スラストの延長であり, ユニットIが内帯の周防帯に, ユニットIIが外帯の三波川帯にそれぞれ帰属すると結論される. また, 茂木スラストと脇岬—深堀スラストを一括して, 野母構造線と新称し, 古中央構造線に対比する.

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© 2004 日本地質学会
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