地質学雑誌
Online ISSN : 1349-9963
Print ISSN : 0016-7630
ISSN-L : 0016-7630
論説
千葉県九十九里浜の現世前浜堆積物に見られるMacaronichnus segregatis様生痕とその形成者
奈良 正和清家 弘治
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 110 巻 9 号 p. 545-551

詳細
抄録
千葉県九十九里浜の前浜堆積物中から, 多数のMacaronichnus segregatis様生痕を発見した. この生痕は, 剥ぎ取り試料面上において高さ2-3 mm, 幅3-50 mmほどの円形もしくは長楕円形を成し, 内部が細粒砂サイズの無色鉱物で充填され, その周囲に磁鉄鉱などの有色鉱物が濃集することが特徴である. この生痕ときわめて似た特徴を有する本邦第四系産生痕化石Macaronichnus segregatisの形成者については, 従来, 小型等脚類ヒメスナホリムシとするものと, オフェリアゴカイの様なゼン虫類とするものの2つの説があった. この生痕が産する堆積物からは, ヒメスナホリムシは一切採集されなかったものの, オフェリアゴカイ科の多毛類であるEuzonus sp. が多数採集された. このことから判断すると, このM. segregatis様生痕の形成者は, オフェリアゴカイ類と判断して良いだろう.
著者関連情報
© 2004 日本地質学会
前の記事 次の記事
feedback
Top