地質学雑誌
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論説
帯磁率異方性からみた丹沢トーナル岩体の貫入・定置機構
金丸 龍夫高橋 正樹
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2005 年 111 巻 8 号 p. 458-475

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抄録

丹沢主期トーナル岩体において帯磁率異方性の測定を行い,その貫入定置機構について検討した.岩脈類の古地磁気測定結果は,本岩体が貫入・定置した7 Ma以降大きく傾動していないことを示す.本岩体の帯磁率異方性は,磁鉄鉱の集合結晶もしくは磁鉄鉱を包有する有色鉱物の配列形態に依存している.帯磁率面構造によれば,本岩体では,時間を置かずに相次いで形成されたと考えられる水平方向の正規組成累帯構造を示す4つの定置ユニットが識別される.マグマ固化の最末期に形成された左横ずれ変形を示す片麻状トーナル岩の帯磁率面構造は,露頭で観察される葉理構造と調和的である.マグマの供給源を示す急傾斜の帯磁率線構造が,それぞれのユニットの周縁部において,ほぼ環状に分布するのが認められる.丹沢主期トーナル岩体は,横ずれ引張場においてプルアパート性貫入岩体の底部が沈降することにより形成された,一種のロポリス状岩体であると考えられる.

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© 2005 日本地質学会
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