地質学雑誌
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論説
東海村およびひたちなか市の地表γ線強度分布と土壌タイプ分布からみる環境放射線評価
田切 美智雄池田 昌幹菊池 真一木村 早苗後藤 諭子栗田 浩二
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2005 年 111 巻 8 号 p. 488-497

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抄録

原子力施設が集中する東海村とひたちなか市にまたがる那珂台地を中心に土壌の環境放射線測定と化学組成の検討を行って,那珂台地とその中に存在する原子力施設敷地の環境放射線の評価を行った.調査研究はJCO事故直後に始めた.γ線測定と土壌採取は500 mメッシュをきり,その交点を測定地点とした.那珂台地地域の土壌は主成分化学組成の特徴から3タイプに分類でき,このタイプ分けは地形地質区分に対応している.すべての測定地点で,日本の花崗岩の放射線平均値や一般公衆の年間の実効線量限度を越える地点はなかった.環境放射線の強度分布は土壌タイプの分布と相関がよい.また,K20含量およびRb含量とγ線強度によい相関がみられた.これらの結果はこの地域の環境放射線は主として自然放射線のものであることを示している.

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© 2005 日本地質学会
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