地質学雑誌
Online ISSN : 1349-9963
Print ISSN : 0016-7630
ISSN-L : 0016-7630
総説
電子プローブマイクロアナライザを用いたCHIME年代測定
鈴木 和博
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 111 巻 9 号 p. 509-526

詳細
抄録

CHIME(CHemical Th-U-total Pb Isochron MEthod)法は,モナザイト・ジルコンなどのTh・U・Pb含有量を電子プローブマイクロアナライザで分析し,アイソクロンから年代と初生鉛量を同時に決定するサブグレイン年代測定法である.高い空間分解能と取り扱いが簡単で迅速に年代測定できることがCHIME法の特徴である.CHIME年代測定で要求されるX線の計測精度,特性X線の干渉やその補正方法,およびTh-U-Pb系の非平衡の認識方法を解説した.また,花崗岩のCHIME年代とRb-Sr全岩アイソクロン年代の不一致を例示し,Sr同位体初生値の不均質が単一花崗岩マグマで生じていることを議論した.CHIME年代測定を応用した研究例として,モナザイト中の鉛拡散定数の推定,南部北上山地のシルル・デボン系と氷上花崗岩の関係,および領家帯の花崗岩形成と上昇削剥過程を紹介した.

著者関連情報
© 2005 日本地質学会
次の記事
feedback
Top