2007 年 113 巻 10 号 p. 505-518
秋田沖日本海の陸棚から大和海盆に至る広範囲において,3.5 kHzサブボトムプロファイラー(SBP)記録の反射面深度分布を用いて,海底表層部の堆積速度の二次元的な分布を求めた.堆積速度は,60 cm/kyを超える陸棚および飛島海盆・男鹿海盆と15-50 cm/kyの所が多い最上トラフとの間で大きく変化する.また,佐渡海嶺の堆積速度は平均的には5-10 cm/ky程度と,最上トラフよりも顕著に小さくなる.これらの堆積速度の違いは供給源からの距離を反映しているとともに,底層を経由した細粒堆積物の輸送の寄与が大きいことを示唆している.また,各海域内の小スケールの堆積速度の変化には小地形の影響が大きく,褶曲や断層に伴う堆積速度変化も認められる.泥質堆積物の分布が卓越する日本海では,同様の手法でさらに広い範囲で堆積速度の二次元的な分布を明らかにすることが可能であろう.