地質学雑誌
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日本地質学会第114年学術大会 2007年 札幌 見学旅行案内書
忍路・積丹半島の水底火山活動と岩盤崩壊
岡村 聡永田 秀尚
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2007 年 113 巻 Supplement 号 p. S93-S102

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抄録

本コースでは,小樽から積丹半島東海岸に分布する多様な水底火山噴出物を見学し,それらの産状観察から海底火山活動の定置環境や噴火機構について考察する.これらは新第三紀中新世に活動した玄武岩,安山岩,流紋岩の多様な岩石種からなり,変質作用や変形をほとんど受けていない.特に玄武岩質マグマの噴出による枕状溶岩や溶岩噴泉によって降下堆積した水冷スパッターの産状など,浅海下で生じた火山噴火の定置環境の復元が可能な地域である.
本地域に分布する新第三紀の水底火山噴出物は,高く連続する海食崖を形成しており,そこではしばしば岩盤崩壊が発生している.岩相的にはそれほど大きな差はないが,海食崖の高さや波食ノッチの発達程度,既存の亀裂の頻度や方向性,風化程度などの地形的,地質的な条件の違いによって,さまざまな規模や破壊,運動形態の異なる岩盤崩壊が発生しているのを観察する.

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© 2007 日本地質学会
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