北部本州の背弧域は島弧方向に平行な褶曲-衝上断層帯によって特徴づけられ,しばしば浅い地殻内被害地震が発生してきた.厚い新第三系堆積層の下の震源断層の存在を明らかにすることは,強震動予測や被害地震のリスクを評価する上で重要である.深部反射法地震探査や余震観測データをもとに,東北地方中部で震源断層と地殻構造の関係について検討を加えた.前弧域では中新世の正断層が,現在の応力場に対応して逆断層として反転活動をしている.これらの震源断層は,断層の起源を反映し地震発生層の中で高角度の形状を示す場合が多い.背弧域の堆積層が厚い地域では,中新統の泥岩層中にデタッチメントが発達し,thin-skinnedテクトニクスの変形様式を示す.新潟堆積盆地では厚さ6 km以上の堆積層に隔てられ,基盤岩中の震源断層と活断層・活褶曲との関連については不明な点が多い.今後,深部地震探査による解明が必要である.