地質学雑誌
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総説
火星探査計画の動向:地球の類似地質・地形の重要性と地質学者の役割
小松 吾郎
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2012 年 118 巻 10 号 p. 597-605

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抄録

近年の火星探査は,取得データの質と量の飛躍的な向上で特徴づけられ,高解像度リモートセンシングや露頭のデータが例として挙げられる.この延長としての将来の探査計画は,生物探査を視野に入れた地質環境精査が目標であるが,サンプルを地球に持ち帰り詳細分析をする計画もある.大量かつ質の良いデータは,地球の地質を研究してきた地質学者たちの火星研究に寄与する可能性を高めた.これは,彼らの経験や研究しているフィールドの特性が,火星の地質の変遷や地形形成の理解に貢献するという前提による.火星の表面の作用は,地球のそれと共通している面があり,様々な地球の類似地質・地形が火星研究に役立てられてきた.極域や大陸内部の砂漠など寒冷,乾燥している場所が多いが,特定の地質作用が観察される衝突クレーターや火山などのフィールドもある.現在まで,日本を含むアジア地域は惑星地質学研究においてはほとんど活用されてこなかったが,この地域の多種多様な地質や地形は,火星との比較対象として今後大きな役割を果たす可能性を秘めている.

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© 2012 日本地質学会
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