抄録
北海道当別町川下地区で掘削した沖積層ボーリングコア(GS-HTB-1,-2)は,堆積相,珪藻化石および14C年代に基づくと,下位より礫質河川堆積物(ユニット2:深度50.7~45.0 m),蛇行河川の堆積物(ユニット3:深度45.0~22.4 m),内湾の堆積物(ユニット4:深度22.4~8.6 m),河川および塩水湿地の堆積物(ユニット5:深度8.6~1.5 m)からなる.ユニット4上部からユニット5にかけての上方浅海化は,湾頭デルタのプログラデーションを示す.沖積層の下位には,上部更新統の氾濫原堆積物(ユニット1:深度55.0~50.7 m)が確認された.堆積物物性・粒度組成は層相とよく一致した.また堆積物懸濁液のpH・ECの値は堆積環境の解釈と対応し,堆積場における塩分を反映することが示唆された.堆積曲線を用いて堆積システムの変遷とその時期,および海水準変動との関係を議論した.