2012 年 118 巻 8 号 p. 459-475
本研究では,低活動性断層の活動性を評価する手法開発のために,2000年鳥取県西部地震の余震域と非余震域(日南湖リニアメント)から採取した断層ガウジに対して鉱物学的・化学的手法を用いて,両断層ガウジを比較した.粉末X線回折分析と逐次選択抽出試験の結果,余震域断層ガウジはイライトと緑泥石を主とし,非余震域断層ガウジはハロイサイトを主とする.余震域ガウジの含有鉄は主にイライトに,非余震域ガウジの鉄は主に非晶質と結晶性鉄鉱物に存在する.L*a*b*表色系の色調測定の結果,L*値の差はイライトとハロイサイトの違いを表し,余震域ガウジの負値のa*は緑泥石の存在を,非余震域ガウジの正値のa*は結晶性鉄鉱物の存在を示す.これら鉱物学的・化学的特徴にて,2000年鳥取県西部地震の余震域と非余震域の断層ガウジを明確に判別でき,その見極めには現場露頭でも簡便に実施できる色調測定が有効であることが示唆された.