2012 年 118 巻 Supplement 号 p. S90-S106
本巡検では,紀伊半島西部の海岸に沿って北から南へ縦断し,秩父北帯・黒瀬川帯・秩父南帯を見学する.見学地点(7地点)において,御荷鉾帯(秩父北帯の北縁部)の緑色岩類とジュラ紀中世−新世珪質岩,秩父北帯のジュラ紀古世−中世メランジュと礫岩,黒瀬川帯の弱変成岩類とそれを不整合で覆う下部白亜系,黒瀬川帯の主要構成岩類(花崗岩類, シルル系−デボン系, ペルム系など)とジュラ紀新世−白亜紀古世被覆層,秩父南帯のジュラ紀中世−新世メランジュとそれに含まれる大規模な後期古生代石灰岩岩体,および秩父南帯南端部の白亜紀古世メランジュと仏像構造線を観察する.これらの見学を通して,秩父帯の付加体形成や秩父帯と黒瀬川帯の接合などが,日本列島の基盤地質構造発達史において重要なイベントであったことをおさえていく.