地質学雑誌
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論説
介形虫化石群からみた群馬県富岡市南西部に分布する中部中新統の特異な岩相の堆積環境
田中 源吾伊丹 美穂黒澤 幸愛吉岡 あゆみ横田 麻莉新井 理菜出原 祐樹林 広樹
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2013 年 119 巻 1 号 p. 17-24

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抄録

群馬県富岡市南西部の大島付近の鏑川沿いに分布する中部中新統富岡層群小幡層において‘古蛇崩い礁’と呼ばれる隣接地域とは岩相が著しく異なった地層が露出している.今回,微化石群集を用いて,当該地層の堆積年代と堆積環境の再検討を行った.介形虫化石および岩相解析の結果,‘古蛇崩い礁’は,漸深海の石英斑岩の海底面上に浅海からの堆積物重力流による流れ込みで形成された堆積物であることが明らかとなった.また有孔虫と介形虫化石から,当該地層は前期中新世後期〜中期中新世前期のいわゆる「中新世熱帯海中気候事件」期に堆積したものであることが判明した.本邦における「中新世熱帯海中気候事件」期の漸深海性介形虫化石群としては2例目の報告となる.

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© 2013 日本地質学会
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