地質学雑誌
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論説
中部地方領家帯,足助地域に分布する深成岩類のK–Ar年代
山崎 徹
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2013 年 119 巻 6 号 p. 421-431

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抄録

中部地方領家帯,足助地域に分布する領家深成岩類である,神原トーナル岩,三都橋花崗閃緑岩,伊奈川花崗岩塊状岩相,伊奈川花崗岩片麻状斑状岩相,そして武節花崗岩から,それぞれ,70.7 ± 1.8 Ma,71.0 ± 1.8 Ma,70.1 ± 1.8 Ma,66.7 ± 1.7 Ma,71.1 ± 1.8 MaのK–Ar年代を得た.これらの年代は冷却年代であり,これまでに報告されている各種年代データを総合すると,約83–82 Maの武節花崗岩の固結の後,伊奈川花崗岩片麻状斑状岩相を除く岩体が共通の冷却史を辿り,K–Ar系の黒雲母の閉鎖温度に達したことを示す.一方,伊奈川花崗岩片麻状斑状岩体は,約76–67 Maに固結し,66.7 MaにK–Ar系の黒雲母の閉鎖温度に達した.伊奈川花崗岩片麻状斑状岩相は,変形を伴いながら貫入し,剪断運動は少なくともシュードタキライトの形成された約53 Maまで継続したものと考えられる.

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© 2013 日本地質学会
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